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目を見ればわかるなんて

27歳社会人のブログ。

命懸けくらいじゃなきゃいつまでも何も変わんねぇ(エイトレンジャー2・さびしんぼう等感想)

ここ数日で映画を何本か見たので感想を。

 

〇エイトレンジャー2(2014年)

関ジャニ∞の映画の続編です。

 

前作『エイトレンジャー』はかなり戦隊モノの王道ストーリーで、横山くんが最後に加入してリーダーとなり、生き別れになっていた実の父親との共闘、父親の死を前にして慟哭して覚醒するくだりなんか、鉄面臂張梁かよ、と唸らせるような展開を披露してくださいました。

ディストピアでダメ人間たちがバイト感覚でヒーローになって、ダメ人間らしく大してまとまることもできずに脱退や敗北を繰り返すも、ふとしたきっかけに自分の過去や生い立ちを相克してヒーローとしての自覚を得る、という展開なんか、戦隊ものの1クール目として考えればかなり王道ですよね。

 

ていうか、私が前作を見ていて戦慄したのが、関ジャニ∞が主演で、敵の親玉が東山紀之で、製作がジェイストームで、どう考えてもエイターの方々に向けて作られた作品にも関わらず無駄に綿密に戦隊もののコンテクストに通底していることでした。いやファン層被ってないよ?見てる人の大半はこの無駄に凝った感じわかんないよ?と慄然としました。

 

まぁそれはいいんですが、続編となった今作は主役はすばるくんでした。赤ですね。王道ですね。

酔拳使う感じとか、戦隊的にはダイレンジャーとかゲキレンジャーな感じがあっていいですよね。前作からちょっと時間が経ったらそれぞれの欲望に溺れたりやる気を失ったりしていたほかの六人を軽蔑し、叱咤し、挑発する役回りで、かなりヒーローしててカッコイイです。

 

すばるくんの魅力って、あのギラギラした危うさだと私は思うんです。トークとか見ててもいつキレるかわからない怖さがあってハラハラする。

本人もそこを自覚して意図的に道化ていて、気のいい兄ちゃんを演じてる感じがするけど、あの触れたらヤケドしそうな感じがすごい魅力的に映る。90年代のSMAPとかTOKIO、もっといえば男闘呼組みたいなジャニーズの不良路線の尖がった雰囲気を残す数少ない人材だと思う。同じクラスだったら話しかけられない不良グループの怖い人感がある。

 

それはさておき、今回の主眼は世の中は単純な善悪の二元構造ではない、という部分でした。

ヒガシくん(悪のテロ組織)と竹中直人(警察→首相)、赤井英和(市長)の三人がそれぞれ正義でもあり悪でもあり、それぞれに正義を目指しているけどもその理想の実現のためには悪にもなる、という物語の構成で、アイドル映画に行政と警察の癒着まで絡めて複雑な対立軸を持ち込みすぎだろう、と思いましたが、物語の中で絶対的な悪者を作らない、という配慮なんでしょうね。

 

丸山くんに徹頭徹尾「モノマネじゃダメだ」と説くダチョウ倶楽部の肥後さんがずっとジャパネットたかたのモノマネをしているのがツボってしまったのと、岡本あずさにニューハーフ役をやらせる必要性が全くわからなかった辺りが印象的でした。

 

あと、あっちゃんはやっぱ声張る役は向いてないんじゃないかなぁ、と思いました。『マジすか学園』みたいな唐突にキレる感じは合ってたように思いますが。

 

さびしんぼう(1985年)

大林宣彦尾道三部作最終章。私の故郷(正確には隣町ですが)、尾道です。

尾道という土地は高度経済成長期で時の止まったノスタルジックな町で、坂が多くて雰囲気のある所です。「かみちゅ!」でも描かれましたが、中高生にとってはただそこにあるだけの日常で、坂もキツイし、遊ぶところもそんなに多くないしアレなんですけど過ぎ去った青春時代を思い起こすにはうってつけの町です。逆に言えば穏やかで時間の流れの緩やかな町です。

 

それにしても尾美としのりは大林作品にいったい何作出てるんでしょうね。途中で小林聡美が出てきて笑ってしまいました。同じ場所で男女が入れ代わったり幼馴染がタイムリープしたり幽霊に会ったり大変ですね。岸部一徳とかあの辺もファミリーですね。

 

大林宣彦の作品は、薬師丸ひろ子にしても原田知世にしてもそうなんですが新人に近い女優の瑞々しさっていうか、演技に不慣れな女の子を撮るのがうまいなぁ、と思うんですね。この映画でも富田靖子の「さびしんぼう」とユリコちゃんがそれぞれとてもかわいいです。

中川右介氏の著書によれば大林宣彦角川春樹薬師丸ひろ子のアイドル映画を撮ってくれ、と頼まれて「ひろ子のワッペン映画を作りましょう」と言って『ねらわれた学園』を作ったそうですが、言わんとすることはわかる気がします。新人女優を輝かせる撮り方がわかってるような気がします。ウブな表情が、かえって透明感があるような感じに映っています。

 

あと、さびしんぼうの白いオーバーオールとニットが昭和の最後ら辺の感じが出ててとてもよい。唐突にエロハプニングみたいなのが起こるのもお約束ですね。なぜ秋川リサ演じる英語教師がいつもスカートが脱げるのか全く説明がない辺り、よくわからないサービス精神を感じます。

 

今までの多くの作品でも表現されてきたように、繰り返し何度も映される尾道の港の夕焼けがノスタルジーを煽ってて、とてもいい。あそこは向島とかいろんなところに向かって渡し舟が出ていて、あの映画の通り、島に住んでる子はチャリを押して船に乗るし、台風が来たら船が出せないから休みになったりするような前時代的な地域なんです。あの子そういえば風強い日は潮の流れがすごくて来れないとか言ってたな、みたいな事を思い出してとても懐かしかったです。

 

私は神戸にも数年住んでたのですが、尾道と神戸は町の雰囲気がよく似ていて、坂と港が隣接している風光明媚な所です。まぁ町の規模でいえば神戸の方が圧倒的に栄えているのは言うまでもないですが、北に行けば山があり、南は海というロケーションは何か自分の原風景となっている感じはあります。

 

大林宣彦の性倒錯というか、女の子と入れ替わってみたり、母親の若いころにそっくりの女の子を好きになってストーキングしてみたり、そういうフェチズムが感じられる作品だと思います。

 

蒲田行進曲(1982年)

1982年のキネマ旬報で1位を取った作品で、前から見たいと思っていたので。

何にも勝る娯楽だった映画がテレビの普及によって斜陽となっていく最中の東映を描く、いわゆる内輪モノで、映画の規制によって撮れる物が狭まっていく様子や、主演俳優同士の派閥争い、その弟子たちである大部屋俳優の生き方を描く作品です。ちなみに原作はつかこうへいです。

 

作監督ってテロップで見て、あまりにらしくなくて笑ってしまいました。やっぱ徹頭徹尾コメディだからなんでしょうね。殺伐としたヤクザ映画のイメージが強すぎてこんな喜劇を撮るイメージが全くなかったんで意外でした。

 

風間杜夫演じる銀ちゃんのキャラの強さもさることながら、妊娠して男に捨てられて、弟子に押し付けられるみじめな女を熱演する松坂慶子が光っていました。裸を晒しているのも、まぁもともとそういう作品にも出られている女優さんだそうなので珍しくもないのでしょうが、今の松坂慶子からあまり想像できなかったので意外でした。ドラマ版では大原麗子が演じたらしいが、松坂慶子の方が個人的にはイメージは合ってる気がします。

 

当時は松竹映画といえば松坂慶子の時代であり、斜陽産業となりつつあった国内映画界を角川の大量宣伝、大量製作費で再興しようという流れがあり、かつ絶対にヒットするスター女優が不足していた時代だったという事前知識があったので同時代を知らないながらも多少理解して見ることができました。

 

色々印象的なシーンはありましたが、松坂慶子のいじらしさが良かったですね。

 

「ちゃんとプロポーズしてよ!」

「じゃあ、結婚してください…」

「じゃあって何よ!…お受けしました。大事にしてよ。私、めちゃくちゃ甘えるんだからね。」

 

というシーンなんか、ヤスの態度はグッダグダなんですけど女性としては形式だけでもプロポーズしてほしい感じが伝わってきて、無性にいじらしい。こんな都合の良い女どこにもいねーよっていうのはあるんですけども。

 

言ってることとやってることはクズなんだけど何だかんだ二枚目だし何か憎めない銀ちゃんは破天荒な昭和のスターっぽい感じで良かったし、明日階段落ちっていう日に荒れまくってメチャクチャにするヤスも、生真面目な男の一世一代感が出ててそれっぽい感じで良かったです。

松坂慶子が臨月になってそんなこと言わないでよ、みたいな事を叫ぶシーンも好きですね。シリアスなシーンなのにセリフは妙に冷静で、コミカルで面白かったです。総じてキャラクターが良かった。

 

 

ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌(1986年)

いわゆるヤンキー映画ですね。

私は不良とは全く無縁の学生生活を送っていたのでちょっと別世界を見る意味でこういう作品を見るのは好きなんですが、まーガラが悪いですよね。シャバいってのがどういう状態を指すのか今の時代に生きる若者にはさっぱりわからないですが、ケンカが強いことが一番価値があった時代の名残を感じます。

 

ヤンキー漫画って、結局強さ議論の話になってくるじゃないですか。タイマンで負けたらこいつの方が弱い、とか、多人数だからノーカン、とか。『カメレオン』とか『湘南純愛組』とかを少年マガジンで読んで育った私は、結局誰が一番強いんだろう?みたいな事を思って読んでいましたし、一回でも負けちゃうとそれだけで大したことないんじゃないか、なんて感じてしまいます。

 

でも実際問題、その日のコンディションとか多勢に無勢だとか、凶器があるかないか、とかいろんなことで勝敗分かれてきますよね。ビーバップはその辺が面白いです。トオルもヒロシも結構負けるんですよ。罠にはめられたり大勢にボコられたりすることもあるし、普通にタイマンでやられることもある。ツッパるけど、負けるし、多少弱気な面も見せる。不良漫画なのに誰が一番強いか、みたいな指標が無意味だってことを伝える感じがいいですね。その割に、やられたらやられっぱなしじゃ終わらずに二戦目で勝ちに行くところなんかは、メンツを重んじる、やくざものの学生生活が描かれていて面白いです。

 

そして何より中山美穂がかわいい。80年代後半のアイドル四天王(中山美穂南野陽子浅香唯工藤静香)の中ではミポリンが一番かわいいと思ってます。三作目からは出てないのはなんでなんですか!

 

で、内容はあんまり無いのですが、ボンタン狩りをする城東との抗争を描いたのが本作です。意味が分からないですよね、ボンタンを狩るっていう行為が。

そりゃもちろん不良の象徴であるボンタンを狩ることが他校への示威行為で、みじめな思いをさせることで敗北感を植え付けるってのもわかるんですけども。理解に苦しむ行為です。

 

基本はコメディパートと、乱戦殴り合いシーンばっかりです。不良同士のケンカって実際どんな感じなんでしょうね。やりすぎたらダメ、とかあるんでしょうかね。ケンカに負けた二人はしょげかえって、いつもは笑えたことも楽しくない。強い弱い、メンツの問題が自己肯定感につながってるんですね。

 

若しきり頃の清水宏次朗仲村トオルのカッコよさはシビレます。よく周りの子が言う「イケメンは怖い」という感覚が多少わかる気がします。

イケメンが群れているのは、確かに、怖い。美醜によって、自分の存在が否定される感覚がある。相手が美しいというそれだけでこちらの存在がねじ伏せられるような、卑屈な気持ちになる。もちろんそれだけが人間の価値ではないのはわかっているのだけど、相手が美しい、それだけで無意識の憧れを抱いてしまい、対等な立場でいられなくなる。美しければそれでいい。翠玉のリ・マージョンしたくなります。

 

何にせよ、古き良き昭和の時代に一瞬だけ流行っていた不良文化を感じられる作品です。

私の故郷にもここまででないにしても前時代的なヤンキーが時々いるのは内緒ですが…。

 

 

こんなところです。

映画はあまり強くないジャンルなので今後も攻めていこうと思います。